FFmpegのインストール方法【音声処理に必須】

FFmpegと検索すると、https://ffmpeg.org/という公式サイトが真っ先に出て来ます。
しかし、実際、ffmpeg.org（公式サイト）で提供されているのは主に「ソースコード」のみで、Windowsユーザー向けのビルドは用意されておらず、リンクを辿って外部サイト（例：Gyan.devやBtbN）に案内される事になります。
よって、上級者や開発者が自分でビルドする場合には便利ですが、ユーザーが「とりあえず使いたい」ときには、以下を利用しています。

gyan.dev（Gyan Doshiによる非公式ビルド）

Windowsユーザー向けにビルド済みのFFmpegを配布しています。
ZIP形式でダウンロード → 解凍 → Path設定で、すぐ使えます。
公式にも「信頼できるビルド元の1つ」としてリンクされており、安心感あり。
多くのユーザーが「とりあえず使いたい」ときにここを利用しています。

本記事では、Whisper用途の方の目線でFFmpeg（gyan.dev（Gyan Doshiによる非公式ビルド））のインストール方法をまとめています。
Whisperでは、音声ファイルの読み込みや変換処理に FFmpeg（エフエフエムペグ） というライブラリを使用します。

「すぐに使いたい人」は gyan.dev からダウンロードするのがおすすめです。
ソースからのビルドや高度なカスタマイズが必要なら、公式サイトからソースを取得しましょう。

FFmpegとは？

FFmpegは、動画や音声の変換・編集・抽出など、マルチメディア処理に欠かせない高機能なコマンドラインツールです。
Whisperでは、音声ファイルを内部で処理する際に自動的に使われます。(これが入っていないと、音声ファイル（mp3など）を処理できずにエラーになります。)

FFmpegのインストール方法

Windows10 / 11対応の手順

ステップ1：FFmpegをダウンロード

以下のリンクから、Gyan.devのFFmpegビルド配布ページにアクセスします。
ページ内の「Release builds」セクションに以下の様な選択肢があります。

🔗 https://www.gyan.dev/ffmpeg/builds/

ffmpeg-release-essentials.zip「essentials」は、一般的な用途に必要なコーデック・機能を含んだ軽量ビルドです。
Whisper（音声認識ライブラリ）のみを使う目的でFFmpegをインストールする場合、
Gyan.devの ffmpeg-release-essentials.zip で 十分です）

しかし、「トラブルを避けたい」「長期的に安定して使いたい」なら → full.7z が安心です。

ffmpeg-release-full.zipこちらは、特殊な動画コーデックの編集、ストリーム処理（RTMP、HLSなど）を行いたい場合に選びますが、ファイルサイズが大きいです。

※ ページ内の「Release builds」セクションから、ffmpeg-release-essentials.zip又は、
ffmpeg-7.1.1-full_build.zip(2025年5月現在Ver.)をクリックしてダウンロード。

ffmpeg-release-full.zipとfull_buildの違い

初心者でも余裕があるなら full.7z を選ぶのが安全！？

「full_build」版は、Whisperが必要とするすべてのライブラリを含んでいますが、Whisperを使う上では過剰でファイルサイズも大きい為、ffmpeg-release-essentials.zipがおすすめな場合もあります。

比較項目	essentials.zip	full.7z
ファイルサイズ	小さい（40〜60MB程度）	大きい（100MB以上）
含まれる機能	音声/動画の基本的な処理に必要な機能のみ	ほぼすべてのコーデック・フィルター・デマルチプレクサなどを含む
Whisperに必要な機能	基本的に含まれている	もちろん含まれている
安定性・互換性	通常は問題ないが、一部の音声形式で変換エラーになる可能性あり	極めて高い（特殊フォーマットや将来的な仕様変更にも対応しやすい）
DLLの数・依存関係	少なめでシンプル	多めだがすべて同梱済みなので安心
解凍形式	ZIP（初心者にやさしい）	7z（7-Zipが必要）

DLLに慣れていない人でも大丈夫？→ はい、「essentials.zip」でOKです
ffmpeg-release-essentials.zip は「スタンドアロン形式」

このZIPを解凍すると、binフォルダの中に ffmpeg.exe という実行ファイルがすでに入っています。
必要なDLLも 同梱済み（たとえば avcodec-*.dll、avformat-*.dll など）。
特別なDLLの配置やインストールは一切不要です。

DLLとは…
Windowsでプログラムが機能を呼び出す「部品のようなファイル」。難しそうに感じるかもしれませんが、Gyan.devのビルドでは最初から必要なものが揃っているので、ユーザーが個別に操作する必要はありません。

⚠ Whisperを使う場合、基本的には essentials.zip で問題なく動作します。ただし、より多くの音声形式に対応し、将来的なトラブルを避けたい方は ffmpeg-release-full.7z（フルビルド版）の使用をおすすめします。必要なDLLも含まれており、インストール後すぐに使えます。

「ffmpeg-7.1.1-full_build」と
「ffmpeg-7.1.1-full_build-shared」の違い

「ffmpeg-7.1.1-full_build」と「ffmpeg-7.1.1-full_build-shared」は、内容は似ていますが、バイナリの構成に違いがあります。

項目	`full_build`	`full_build-shared`
含まれる実行ファイル	`ffmpeg.exe` などが静的リンク（単体で動作）	実行ファイル + DLL（外部ライブラリ）に依存
特徴	これ単体で動く環境構築が簡単	モジュール構造で軽量化 DLLがないと動かない
初心者向けか？	◎ 向いている（1つの実行ファイルで完結）	△ DLLの扱いに慣れている人向け
Whisperとの相性	◎ 安定して使える	○ 動作はするが環境依存の可能性あり

full_build は「静的リンク版」と呼ばれ、そのまま解凍するだけで動作します。
一方 shared 版は、複数のDLLファイル（動的リンク）に依存しているため、環境構築が少しややこしくなります。

補足：なぜ「shared」版が存在するの？

開発者向けに、「アプリのサイズを抑える」「一部ライブラリだけ差し替える」などの柔軟性を持たせる目的で配布されています。ただし、通常利用には向きません。

ステップ2：ZIPファイルを解凍

ダウンロードしたZIPファイルを右クリック →「すべて展開」を選び、
展開されたフォルダを分かりやすい場所に展開（例：C:\ffmpeg に配置）。

フォルダの中に「bin」ディレクトリがあり、その中に ffmpeg.exe があります。

ステップ3：環境変数にパスを追加（初回のみ）

環境変数の設定を忘れずに行ってください。
この手順に従ってFFmpegをインストールすれば、Whisperを含む音声処理ツールをスムーズに使用できるようになります。

スタートメニューで「環境変数」と検索し、「システム環境変数の編集」をクリックします。
「環境変数(N)…」ボタンをクリックします。
「システム環境変数」セクションの「Path」を選択し、「編集」をクリックします。
「新規」をクリックし、解凍したフォルダ内のbinフォルダのパス（例：C:\ffmpeg\bin）を入力します。
「OK」をクリックしてすべてのウィンドウを閉じます。

macOSの場合（Homebrewを使用）

ターミナルで以下を実行

brew install ffmpeg

※ Homebrewが入っていない場合は公式サイトを参考にインストールしてください。

Linux（Ubuntu系）場合

sudo apt update
sudo apt install ffmpeg

インストール確認方法（共通）

ターミナル（Windows Terminal）コマンドプロンプト、PowerShell、の開き方

Windowsの場合は、（※Windows Terminal）を開きます。

※Windows Terminal（ウィンドウズターミナル）の起動方法…

コマンドの実行は、Windows標準の「Windows Terminal」を使って行います。
（※コマンドプロンプト（cmd）やPowerShellでも同様に動作しますが、Windows Terminalの方が操作しやすくおすすめです。）
コマンドプロンプト（Command Prompt）とは、Windowsに搭載されているテキストベースのインターフェースです。マウス操作ではなく、キーボードからコマンド（指示）を入力することで、パソコンを操作できます。

Windows Terminal起動方法

スタートメニューで、左クリック➡ターミナルを起動もしくは、「Windows Terminal」と検索して起動
デフォルトでは PowerShell または Command Prompt（cmd）（又は、WindowsPowerShell）が開きます

画像生成用途の場合は、Command Prompt コマンドプロンプト（CMD）と相性が良いです。

pip install や conda などのモダン開発向けコマンドは、PowerShellと相性が良いです。

※詳しい使用方法や、Windows Terminalの設定方法は、こちらの記事をご覧ください。

Windows Terminalは、タブを切り替えて複数のシェルを使う事が出来ます

上部の ＋ ボタンから新しいタブを開けます
をクリックすると以下の選択肢があります
- PowerShell
- Command Prompt
- WSL（Linuxサブシステム）※インストール済みなら
- Azure Cloud Shell（必要な場合）

※Microsoft 公式も「Windows Terminal」を推奨しているため、当サイトでも記載するWindowsのコマンド実行場所を、コマンドプロンプト（cmd）から「Windows Terminal」に変更致しました。

コマンド入力は間違えるとエラーになることもありますが、慣れると素早く作業ができる便利なツールです。

Macの場合は、（※ターミナル）を開きます。

※ターミナル（Terminal）の起動方法…

Macには「ターミナル（Terminal）」というアプリがあり、これを使うことで、コマンドを入力してシステムを操作できます。

ターミナル起動方法

**「Command ⌘ + Space」を押して、「Spotlight検索」**を開く
検索バーに「ターミナル」と入力してEnter

または、以下の手順でも開けます：

アプリケーション → ユーティリティ → ターミナル

※Linux のターミナルの起動方法…

Linuxでは「ターミナル」が、コマンド操作の基本です。ウィンドウの中でキーボード入力によりシステムを操作します。

Linuxターミナル起動方法

１，：Ctrl + Alt + T を同時に押す（多くのLinuxディストリビューションで共通）
２，：アプリケーション一覧から「ターミナル」または「Terminal」で検索して開く

Ubuntu、Fedora、Debianなど、ほとんどのLinux環境に標準で搭載されています。
Macのターミナルと似た雰囲気で、コマンドの使い方もほぼ共通です。

※PowerShell の起動方法…（Windows）

PowerShell（パワーシェル）**は、Windowsに標準搭載されている、より高度な操作ができるコマンドラインツールです。見た目はコマンドプロンプトと似ていますが、より多機能で、プログラミング的な処理も得意です。

PowerShell起動方法

１，スタートメニューで「PowerShell」と検索してクリック

２，Windowsキー + R を押して「powershell」と入力 → Enter

コマンドプロンプトと同様、キーボードからコマンドを入力して操作します。
たとえば Get-ChildItem（=フォルダの中身を見る）など、PowerShell独自のコマンドもありますが、通常のコマンド（例：cdやpythonなど）も使えます。

※コマンドプロンプト（cmd）の起動方法…（Windows）

Windowsキー + Rを押す

「cmd」と入力してEnterを押す
または、スタートメニューで「コマンドプロンプト」と検索してもOK！

ターミナル（Windows Terminal）を開き、”○○○（ツール名）”と打ち込むと呼び出してくれます。

ターミナルまたはコマンドプロンプトで以下を実行
コマンドを入力して、FFmpegのバージョン情報が表示されることを確認します

ffmpeg -version

バージョン情報が表示されれば成功!

FFmpegでできること（例）

音声ファイルのフォーマット変換（WAV→MP3など）
動画から音声だけを抽出
複数の音声や動画ファイルの結合・分割
サイズやビットレートの圧縮

よくあるトラブル

症状	対処方法
`ffmpeg not found` エラー	パスが通っていない／インストールされていない可能性
バージョン情報が出ない	再起動してパスを反映／環境変数の再設定を確認

Whisperで音声を正しく読み込めないときは、まずFFmpegがきちんと入っているかを確認してみましょう。

Sakasa AI

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