ComfyUIとは?Stable Diffusionをノードで操る高機能UIを解説

Stable Diffusionを使った画像生成といえば、最も有名なのは「AUTOMATIC1111 WebUI」。でも最近じわじわ注目を集めているのが、もう一つの強力なツール ComfyUI(コンフィーUI) です。


ComfyUIってなに?
ComfyUIは、Stable Diffusionをノードベースで操作するためのインターフェースです。
BlenderやAfter Effectsのような「ノード型エディタ」をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。プロンプト、モデル読み込み、サンプラー、アップスケーラーなどの処理がすべて“ノード”として並び、線でつないで処理の流れを組んでいきます。
一見、難しそうに感じるかもしれませんが、慣れると「自由度」と「再現性」が抜群。
例えば、「SDXLでLoRAを適用して、ControlNetでポーズを指定し、画像を動画に変換」なんて複雑な処理も、1つの画面でまとめて操作できます。
ComfyUIの主な特徴
- ノードベースの自由な構成
生成の流れを細かく制御できる。失敗した箇所だけ再実行できる効率の良さも魅力。 - 高い拡張性
ControlNet、LoRA、Tiled Diffusion、動画生成、アップスケーラーなどの機能を追加可能。フォルダに置くだけで導入できる拡張も豊富です。 - モデル学習にも対応
LoRAのトレーニングや出力調整、画像分岐などもノードで管理できるため、AI画像の研究にも向いています。 - 軽量・マルチプラットフォーム
Windows/Mac/Linuxに対応し、Colab上でも動作可能。初回セットアップも比較的かんたんです。
このツールは、“ノード”をつないで自由に画像生成ワークフローを組めるのが最大の特徴。パラメータや処理の流れを視覚的に操作できるので、「生成の仕組みを理解しながら使いたい」という人にはとてもおすすめです。


―ノードについての詳しい解説はこちらをCLICK!
「ノード」とは、画像生成の中で「1つの処理や機能を担うパーツ」のことです。
たとえば、Stable Diffusionの処理にはこんな流れがあります
- モデル(Checkpoint)を読み込む
- テキストをエンコードする(プロンプト処理)
- ノイズから画像を生成する(サンプリング)
- 画像を保存する
この1つ1つが、それぞれ独立した「ノード」として用意されています。
※この上の画像の一つ一つのブロックの事を言います。
ComfyUIではこれらを“ブロック”や“箱”のような形のノードを配置し、線でつなぐことで処理の流れを組み立てるというスタイルを採っています。
ノードのイメージ(例)
ノード名 | 機能 |
---|---|
Load Checkpoint | モデル(例:SDXL)を読み込む |
CLIP Text Encode | テキストプロンプトを処理する |
KSampler | 実際に画像を生成する |
Save Image | 出力画像を保存する |
ノードを線でつなぐことで、「このモデルを使って、このプロンプトで、画像を作って、保存する」といった一連の流れが形になります。
ノードを使うメリット
- 処理の流れが目に見えてわかる
ブラックボックス感がなく、変更も簡単。 - 一部だけ再利用や差し替えができる
LoRAやVAEだけ変更して生成を比較するのも楽。 - 複雑な処理を段階的に組める
ControlNetや動画生成のような構成も柔軟に。
つまり、ノードは「レゴブロックのように、必要な機能を組み合わせて自分だけの画像生成パイプラインを作る部品」です。
ComfyUIはこの“ノード式”で作業できるため、創造の自由度が非常に高いのが特徴です。
ComfyUIと他ツールの違いは?
ツール名 | 特徴 | 難易度 |
---|---|---|
AUTOMATIC1111 WebUI | 入門者向け。フォーム入力型 | かんたん |
ComfyUI | ノード式。自由度・拡張性が高い | 中〜上級者 |
ComfyUIは「慣れると何でもできる」ツール。一方で、見た目の複雑さや操作に戸惑う人も多いため、まずはシンプルな構成から始めるのがおすすめです。
ComfyUIのインストール方法(Windows向け)
事前に必要なもの
- Windows 10 以上
- NVIDIA GPU(GeForce RTXなど)※VRAM 4GB以上推奨
- PythonやAnacondaは不要!(自動で準備されます)
ステップ1:ComfyUIをダウンロード


- 以下の公式GitHubにアクセス:
https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI - 緑色の「Code」ボタン →「Download ZIP」をクリックして保存。
- ダウンロードしたZIPファイルを右クリック → 「すべて展開」で解凍します。
※解凍先は「ドキュメント」など分かりやすい場所に。
ステップ2:ComfyUIを起動する
- 解凍したフォルダを開きます。
run_nvidia_gpu.bat
というファイルをダブルクリック。- 初回起動時、自動で必要なライブラリがインストールされます(数分かかることがあります)。
- ブラウザが自動で開き、ComfyUIが起動します
http://127.0.0.1:8188
ComfyUIの起動と”セキュリティ”についての詳細はこちらをCLICK!
このURLはインターネット上の外部サイトではなく、パソコンの中だけで動作しているローカルアドレスです。
127.0.0.1
は「自分自身のPC」を指す特別なIPアドレス(通称:localhost)。
http://127.0.0.1:8188
は「あなたのPCの中に立ち上がったComfyUIサーバー」に接続しています。
通信は外に出ておらず、他の人から見えない安全な環境です。
注意点
- 通常は他の人からアクセスできませんが、もしPCをリモート公開していたり、セキュリティ設定が特殊だったりするとリスクが出る場合もあります。
- 安心して使うためには、「ComfyUIを起動したときだけ開く」「不要なときは閉じる」だけでOKです。
ComfyUIでセキュリティを高める方法
① 起動ポートを変更する(例:8188 → 他の番号)
ポート番号(http://127.0.0.1:8188 の「8188」)はデフォルトですが、ポートスキャンによる侵入を防ぐために変えるのが有効です。
run_nvidia_gpu.bat
を右クリック →「編集」--port 8188
を例えば--port 8899
に変更
例:
python main.py --listen --port 8899
② 外部アクセスを無効にする(LAN経由でも入らせない)
デフォルトでは 127.0.0.1
限定ですが、--listen
を外すと外部からアクセスできるようになるため注意!
- バッチファイル内に
--listen
が含まれていないことを確認 - 誤って
--listen
を使っている場合は削除する
③ ファイアウォールでポートをブロック
万が一ComfyUIが外部に公開されても、Windowsファイアウォールで該当ポート(例:8188)をブロックすれば安全性が上がります。
④ 起動ユーザーの権限を制限する
ComfyUIは管理者権限で動かす必要はないため、一般ユーザーで実行することでOS側のセキュリティも保たれます
⑤ 不要なネット接続をしない
ComfyUI自体はオンライン接続を必要としませんが、使っている拡張機能や外部APIがあれば挙動をチェックしておきましょう。
セキュリティ対策 | 目的 |
---|---|
ポート変更 | 不正アクセスの回避 |
外部アクセス無効 | LANからの侵入もブロック |
ファイアウォール設定 | 強制ブロック |
管理者権限で起動しない | OSレベルの制限を効かせる |
日常的にローカルだけで使っている場合は、そこまで神経質にならなくても大丈夫ですが、外部公開やポート転送の設定をしている場合は上記の対策を行ってください。
起動したらどうなる?


ComfyUIの画面が表示され、空っぽのキャンバスにノードを追加できる状態になります。
右クリックで「Load Checkpoint」などを選んで、少しずつ画像生成ワークフローを組み立てていきましょう。
モデル(Stable Diffusion)を入れるには?
モデルをダウンロード
Stable Diffusionのモデルファイル(.safetensors
など)を以下などから入手します
- Hugging Face(例:SDXL →
stabilityai/stable-diffusion-xl-base-1.0
)
商用利用にはライセンスに注意!
ComfyUI\models\checkpoints
フォルダを開く- Hugging Faceなどからダウンロードした
.safetensors
や.ckpt
ファイルをそこに入れる - ComfyUIを再起動すると、ノードからモデルが選べるようになります
画像を生成する
Prompt
ノードに任意のプロンプトを入力(例:a cute cat in watercolor)- 画面左で「Load」→
ComfyUI/examples/workflows
にあるプリセットを選択
例:simple.txt
- 右上の ▶ ボタンをクリック
- 画像が生成されて表示されます!
【LoRA導入】ComfyUI編
Step 1:LoRAファイルのダウンロード
- Hugging Face、Civitaiなどのサイトから
.safetensors
形式のLoRAファイルをダウンロードします
例:anime_style_lora.safetensors
- ファイルを次の場所に移動
ComfyUI\models\lora\
Step 2:ComfyUIでLoRAノードを使う
- ComfyUIを起動して、ワークスペースを開く
- ノード追加 → 検索窓で「LoRA」と入力
→Load LoRA
を追加 Load LoRA
ノードでファイルを選択(プルダウンメニューに出てきます)Apply LoRA
ノードをCLIP Text Encode
とCLIP
に接続
LoRAは「テキストエンコードとUNet」に適用されるので、2箇所に接続が必要です。
【ControlNet導入】ComfyUI編 Step 1:拡張モデルのダウンロード
ControlNetモデル(例:control_sd15_canny.pth
など)を以下から入手:
- Hugging Faceの lllyasviel/ControlNet リポジトリなど
ファイルを次のフォルダに入れます
ComfyUI\models\controlnet\
Step 2:ControlNetノードを使う
- ノード追加 →
ControlNet Loader
を追加 ControlNet Apply
ノードも追加し、適用対象を設定(UNetなど)Image
ノードやCanny Detector
ノードなどと接続して、元画像から条件を抽出します
例えば「ポーズ」や「線画」などから、ベース画像の構図を維持したまま画像生成ができます。
補足
- ControlNetモデルは種類が多いので、やりたいこと(ポーズ/線画/深度など)に応じてモデルを選びましょう
- LoRAとControlNetは併用可能。どちらも使うと、精度の高い、意図したスタイルの画像が作れます
よくある用途の例
目的 | 必要なノード例 |
---|---|
アニメ風にしたい | LoRA (anime style LoRA) |
ポーズを再現したい | ControlNet + OpenPoseノード |
線画から着色したい | ControlNet + Cannyノード |
よくあるエラー対策
- 画面が真っ白のまま動かない: GPUドライバが古い、またはPython環境が壊れている可能性あり。ドライバ更新か、別PCで試してみましょう。
- モデルが選べない: モデルファイルの拡張子(.ckptや.safetensors)が正しいか、格納先が
checkpoints
フォルダか確認。
ノードで出来る事
- LoRAやVAEを簡単に切り替え
- ControlNetでポーズや構図を指定
- 複数の画像を並列生成
- SDXL+Refinerの高品質連携
- スライドや動画生成まで1画面で構成
処理を視覚的に理解しながら構築できるので、初心者の学習用にもぴったりです。
注意点とコツ
- エラーが出たら、ノード設定の見直しを。多くは「未接続」「形式不一致」など単純ミスです。
- モデルやスクリプトごとにライセンスが異なるので、商用利用の場合は必ずチェックしましょう。
- ノード構成は
.json
で保存・共有可能。GitHubやCivitaiで公開された「レシピ」も使えます。
まとめ
ComfyUIは、Stable Diffusionの持つ機能を**最大限に引き出せる“ノード式UI”**です。慣れるまではとっつきにくいかもしれませんが、一度使い始めれば「もっと早く使えばよかった」と感じるはず。
画像生成を“黒魔術”ではなく“理解可能な構造”として扱いたい人に、ComfyUIはぴったりの選択肢です。