【差分イラストの作り方】表情・ポーズを変える方法&LoRA学習素材
LoRA学習用素材にも使える差分イラストの作り方
AI補正・拡張ツールを使えば、ポーズや表情の「差分イラスト」を効率よく作成できます。特に LoRA学習用素材 としても応用可能です。
ここでは Automatic1111・ControlNet・Inpaint などを中心に、差分の作り方を解説します。
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【AI生成・LoRA制作向け】メモ管理とタグ編集を【VS Code】で効率化する方法 | SAKASA AI メモ帳感覚で使えるVS Codeが、LoRA制作やテキストタグ管理を快適に。画像生成や学習フォルダ管理にも最適な、最強の作業環境を紹介します。
目次
「ポーズ差分」と「表情差分」
差分イラストは大きく2種類に分けられます。
- ポーズ差分:立ちポーズ、座りポーズ、手の位置の違いなど
- 表情差分:笑顔、泣き顔、ウィンクなどの顔の変化
用途に応じて適したツールを選ぶと効率的ですので、ここからそれぞれの作成ツールとその方法について見ていきましょう。
ポーズ差分を作りたいとき
ControlNet(OpenPose / Depth)T2I-Adapter が最適
- 元画像のポーズをOpenPoseで抽出 → 少し修正して別のポーズを生成。
- 衣装はそのまま、ポーズだけ違う画像が作りやすい。
- Automatic1111,ComfyUIでは、設定を細かくいじれるので安定。
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ControlNet(OpenPose/Lineart)で出来る事
- 線画ベースのポーズ差分
- ControlNet(OpenPose/Lineart)で同じ顔を保ったまま、ポーズだけ変える。
- 「立ち」「座り」「走る」「指差し」「驚く」などストーリーで使えそうな動きを揃える。
- 表情差分
- 笑顔、泣き顔、怒り、驚き、照れ、無表情など。
- これはLoRAの強み(同一キャラで顔を保つ)に直結。
- 衣装バリエーション
- 特定の衣装
- 普段着
- 限定コスチューム(季節ネタやファンサービス)
表情差分を作りたいとき
一番楽なのは Automatic1111 のimg2img、 inpaint(低denoise)かと思います。
- 顔だけマスク → プロンプトで「smile」「angry」「crying」などを追加。
denoising strength 0.2~0.35くらいにすれば、衣装や髪型は保持されやすい。- 「顔だけを安定させたい」場合は IP-Adapter (face) や Reference-only を併用するとさらにブレにくい。
ただマスクの精度に関しては、Photoshopにクイック選択ツールというかなり優秀な機能があります。
これは、部分選択機能で、Automatic1111 のimg2img、 inpaintを更にAI化した機能です。又、Photoshop生成での利点は、そのまま部分修正と描画編集が可能な点です。
※Photoshopのクイック選択ツールは、AI(正確には機械学習アルゴリズム)を利用して部分選択をする機能です。
以下の記事では、顔以外を変える方法について、Photoshopでの機能と手順を詳しく載せています。顔の表情差分の作成にも応用可能ですので、参考にしてみて下さい。
差分作成の参考に

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表情差分と微調整
LoRA の「顔固定」用ツール併用
- 使い勝手:○
- 「顔が崩れる」「衣装が変わる」を防ぎたい場合、FaceID LoRAやIP-Adapter(顔画像を参照して固定)を組み合わせる。
フォトショップ + AI プラグイン
- 使い勝手:△(作業は細かいが自由度は高い)
- Photoshopの生成塗りつぶしやComfyUIベースのツールを併用して、ピンポイントで差分を作る。
差分イラスト制作フロー(両用途対応)
STEP
ベースキャラを決める
「衣装・髪型・顔の統一された立ち絵」を作る
この1枚を「基準絵」として保存
STEP
ポーズ差分(LoRA用 + 完成品向け)
ControlNet (OpenPose / Depth) を利用
- 元絵から骨格データを抽出 → 新しいポーズに差し替えて生成
ControlNet (Depth)Depthで体の立体感を補正 - 「衣装保持」用に
denoising strength 0.4以下を目安にすると安定
こうして作った差分は、そのまま LoRA学習素材 に使えるし、完成品としても使いやすい
STEP
表情差分(LoRA用 + 完成品向け)
Inpaint(顔だけマスク + 低denoise 0.2~0.35)
- プロンプトで
smile, wink, surprised, cryingなどを指定 - 服や髪を変えずに顔だけ変化させられる
IP-Adapter(face) や Reference-only を組み合わせるとより安定
作った表情差分も、LoRA学習と完成品の両方に使える
STEP
仕上げ
目・手・小物など乱れやすい部分は Photoshop(生成塗りつぶし)やGIMPで修正
LoRA用:背景はシンプル(白や単色)、解像度512〜768px推奨「ノイズ少なめ」がおすすめ
完成品用:高解像度(1024px以上)で背景や小物を追加(LoRA学習用にはクロップしてキャラだけを使う)
ポイント
- AIでどうしても乱れる細部(目・手・小物)は Photoshop(生成塗りつぶし)やGIMP で修正
- これを行えば「完成品として使えるクオリティ」まで引き上げられる
差分イラストを作成する際の考え方
差分イラストを作成すると一言で言っても、
- そのまま使えるイラストや素材を仕上げたい場合と、
- AIにキャラやスタイルをしっかり学習させるLoRA素材を揃えたい場合で、
制作方法に対する考え方に違いがあります。
完成品を作りたい場合のポイント
目的:そのまま使えるイラストや素材を仕上げたい
- 画質重視
→ 高解像度で生成(1024px以上)。細部の描き込みや背景の有無も気にする。 - 装飾や小物を入れてもOK
→ 小道具やエフェクトを加えて「見栄え」を優先。 - 統一感よりもバリエーション
→ 多少キャラの顔や色味が揺れても完成品としては問題ない事も。 - 修正をしっかりやる
→ PhotoshopやGIMPでの後処理が前提になりやすい。
結果: そのまま販売やスタンプ、作品展示に使える完成度になるが、そのままLoRA学習に使用すると、ノイズや余計な要素が多くなることがある。
LoRA学習用差分を作る際のポイント
目的:AIにキャラやスタイルをしっかり学習させる素材を揃えたい
- シンプル背景が必須
→ 単色や白背景にして「キャラ要素だけ」を学習させる。 - 高解像度は不要(512〜768pxで十分)
→ 学習効率を考えると無駄に大きなサイズは不利。 - 統一感最優先
→ 顔や服装の揺れを徹底的に排除。同じキャラだとAIに理解させるのが最重要。 - 小物・装飾は避ける
→ 学習にノイズとなるのでできるだけシンプルに。 - 修正は最低限
→ 過剰な修正は学習を偏らせる
結果: → 学習効率が高く、キャラやスタイルをしっかり覚えさせられる
差分イラスト作成に使える手法比較表
| 用途 / 手法 | Automatic1111 (inpaint / img2img) | ControlNet (OpenPose / Depth) | Photoshop + AIプラグイン |
|---|---|---|---|
| 表情差分 | ◎ 最適。顔だけマスクして低 denoise(0.2〜0.35)で安定。衣装や髪を保持しやすい。 | △ 顔だけの変化には不向き(全身生成向け)。 | ○ ピンポイントで修正可能だが作業量多め。 |
| ポーズ差分 | ○ img2img + 低 denoise で軽い差分は可能。 | ◎ 最適。OpenPoseで骨格抽出 → ポーズだけ変えて衣装維持。 | ○ 手動修正なら自由度高いが効率は低い。 |
| 衣装の保持 | ◎ 設定次第で安定。 | ◎ denoise 低めにすると崩れにくい。 | ○ 手作業修正なので確実。 |
| 操作の簡単さ | ○ 少し慣れが必要。 | △ 設定項目が多い。慣れると便利。 | △ 高度な編集スキルが必要。 |
| 完成品制作向き | ◎ 高解像度生成に対応。 | ◎ バリエーション出しやすい。 | ◎ 細部調整に最適。 |
| LoRA学習素材向き | ◎ 顔や衣装を揺らさず差分生成できる。 | ◎ ポーズ差分を統一感ある形で量産可能。 | △ 背景処理など追加作業が増える。 |
未来LoRA学習用 には、 Automatic1111 + ControlNet 、
完成品用 には、 ControlNet + Photoshop が安定するよ!
ControlNet

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まとめ
- 表情差分 → Automatic1111 の Inpaint(低denoise) が最も手軽
- ポーズ差分 → ControlNet(OpenPose / Depth) が最適解
- LoRA用素材 → 背景シンプル・解像度控えめ・統一感重視
- 完成品 → 高解像度・装飾追加・修正しっかり
セレナ用途に合わせて作業フローを切り替えると、効率よく「差分イラスト」を制作できます。
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