【初心者向け解説】Google ColabでStable Diffusionを自由に使う方法

Colabとは?
「高性能なPCがないとStable Diffusionって動かせないんでしょ?」
そう思っている方に試してほしいのが Google Colabです。これはGoogleが提供するクラウド上のPython実行環境で、
誰でもブラウザからGPU付きのマシンを一時的に無料で使うことができます。
Stable Diffusionのような画像生成AIは、本来はグラフィックボード(GPU)を積んだ高スペックなPCが必要ですが、Colabならその心配は無用。面倒な環境構築も、共有された「ノートブック」を開いてちょっと設定するだけです。
Colabはクラウドで実行できるPython環境です。Colab不要のWebアプリには、Spacesなどがあります。
Colabで動くStable Diffusionのバリエーション
Stable Diffusionと一口に言っても、いろんなフレーバーがあります。中でも有名なのが「AUTOMATIC1111版」。高機能でカスタムモデルやLoRAの読み込みにも対応しており、最も多く使われているUIのひとつです。
他にも「Kohya(こーや)」と呼ばれる学習用ノートブックも人気です。これは自分の画像やスタイルを学習させることに特化していて、オリジナルキャラを作りたい人にはぴったり。さらに「InvokeAI」はシンプルな操作性と軽快さが特徴で、Colab対応ノートもあります。最初はAUTOMATIC1111で始め、慣れてきたら他も試してみるのがオススメです。
派生モデルがたくさんある
Stable Diffusionはオープンソースで公開されたため、誰でも自分好みに改造できます。その結果、アニメに特化したモデルや、写実的な風景が得意なものなど、多くの「派生モデル」が生まれました。
「特定の絵柄をもっと上手に描かせたい」「自分のキャラに合わせたい」――そんなニーズに応えるために、世界中の開発者やクリエイターが工夫して生まれたのがLoRAやCustom Modelたちです。
注目の派生モデル(Stable Diffusion系)
モデル名 | 特徴 | 向いている用途 |
---|---|---|
Anything V5 / V6 | アニメ・美少女イラストに特化。日本のイラスト系で人気 | アニメ風の絵、VTuberアバター |
Realistic Vision | リアル系ポートレートに強く、写真風の仕上がり | AI美女生成、広告用画像 |
DreamShaper | 芸術的な絵作りで汎用性が高い。構図が綺麗 | 幻想風、アート作品 |
Counterfeit | イラストとリアルの中間。柔らかく可愛い絵柄 | SNS投稿・同人誌向き |
Deliberate | ポーズや構図が安定して出る。手の形も割と強い | 実用性重視の商用生成 |
ReV Animated | アニメ塗り×動きのある表現に強い | 動きのある漫画風・GIF素材 |
これらのモデルは、Hugging Face や Civitai などで公開されていますが、商用利用の可否はモデルごとに異なるため注意が必要です。
多くは「CreativeML Open RAIL-M」か、独自のライセンスで提供されています。使用前にモデルページでライセンス表記を必ず確認しましょう。
使い方と注意点
この記事では、Google Colabを使ってStable Diffusion(+LoRA)を動かす具体的な手順 を、
「AUTOMATIC1111 WebUI + Colab(TheLastBen版)」を例に進めます。LoRAも使えます。
事前に準備するもの
- Googleアカウント(Colabを使うために必要)
- Hugging Faceのアカウント(無料でOK)
Colabノートブックの基本的な使い方
ステップ1:Colabノートブックを開く
以下の様な、GitHubからColabnoリンクをクリックして、Stable Diffusion用のColabノートブックを開く場合。


今回は、AUTOMATIC1111 WebUI for Colab(TheLastBen版)で、説明します。(GitHub/Colab対応)
TheLastBen版 A1111 WebUI
- Colabリンクを開く(Colab上に移動するはずです)


上部「ランタイム」→「すべてのセルを実行(▶を押していく)」
最終セルに Gradio のリンク(例:https://xxxxx.gradio.live
)が出ます
そのURLをクリックすると WebUI が表示されます
ComfyUIのColabは時間がかかる
- 依存ライブラリのインストールが多い
→ ノードベースのUIなので、必要なPythonパッケージが多めです。 - モデルのダウンロードや展開
→ 7GB超のモデルを読み込むと時間がかかります。 - Google Colabの環境によっては
→ GPU割当やネットワーク速度で処理時間が変わります。
目安としては
- 初回起動で5〜10分くらいかかることは普通です
- それ以上かかる場合はエラーや通信トラブルがないかチェックが必要です
人気のColab
TheLastBen の「fast‑stable‑diffusion」ノート
fast-stable-diffusion AUTOMATIC1111 UI
- AUTOMATIC1111 + DreamBooth が使える強力セット。初期設定から高速化チューニングまで対応。
- GitHub に
fast_stable_diffusion_AUTOMATIC1111.ipynb
や DreamBooth 用ノートが含まれています。
camenduru の WebUI Colab ノート
- ControlNet や各種モデルを手軽に使えるライト版からフル機能版までブランチ別で提供。
- 標準ノートに「Open in Colab」アイコンがあり、すぐに試せます。
Hugging Face 提供 Stable Diffusion Pipeline ノート
GitHub 版は「StableDiffusionPipeline」を使ったノートブックです。
PyTorch の diffusers ライブラリを使った基本的な推論ノート。シンプルかつ安定しており、入門者にもおすすめ。
まず、使いたいノートブックを開いたら、画面左上にある「ファイル」→「ドライブにコピー」を選び、自分のGoogleアカウントのドライブに保存します。これでオリジナルのノートブックを編集しても問題なし。
モデルファイル使用方法
models/Stable-diffusion
にコピーすれば WebUI に読み込まれます
Google Drive にアップロードして、ノートブックの /content/drive/MyDrive/
にマウント
ステップ2:実行手順にそって進める
Colabでは、コードのブロックがいくつか並んでいます。順番に「再生ボタン(▶)」を押していくだけでOKです。上から順にセルを実行していきます(再生ボタンのようなマークをクリック)。最初は環境構築に少し時間がかかるかもしれませんが、Colabが自動でGPUを割り当ててくれるので、あとは画面の指示に従うだけでOKです。
① 環境セットアップと依存関係のインストール
- 最初の数個のセルを順番に実行します。
- ここで10〜20分ほどかかることがあります(初回のみ)。
② Hugging Faceのアクセストークンを入力
- ノートブック内に「トークンを入力してください」と出る場所があります。
- Hugging Faceにログインして、Access Token ページで作成 → コピーして貼り付けます。
③ モデル選択
- SD1.5やSDXLなど好きなモデルを選べます。
- 有名モデル(RealisticVision、DreamShaper など)をダウンロードして使うことも可能。
ステップ3:WebUIにアクセス
全てのステップが終わると、ノートブックの一番下に「WebUIへのURL」が表示されます(例:https://...gradio.live
)。
これをクリックすれば、自分専用のStable Diffusion WebUI(AUTOMATIC1111) がブラウザで開きます!
ステップ4:LoRAを使う
Stable Diffusionをさらに使いこなしたい場合、「LoRA(ローラ)」と「ControlNet(コントロールネット)」はぜひ覚えておきたいテクニックです。
LoRAは、軽量な追加学習モデルで、自分好みの絵柄やキャラを簡単に追加でき、容量も数MB程度と扱いやすいのが特徴です。一方ControlNetは、ポーズや構図をコントロールできる強力な拡張機能で、手描きの線画や3Dポーズを元に絵を描かせることができます。
これらもColab対応ノートで使えるので、「次のステップに進みたい」と思ったらぜひチャレンジしてみてください。
LoRAとは?かんたんに
LoRAは、元の大きなモデル(例:SD1.5やSDXL)に対して「軽量な追加学習データ」を組み込むことで、新しいキャラクターや画風を簡単に再現できる技術です。
データサイズは数MB〜数百MBと軽く、好みのLoRAをダウンロードして使えば、キャラクター再現や特定スタイルの生成がすぐにできるようになります。
LoRAの使い方(AUTOMATIC1111 WebUI編)
Stable Diffusionにおける「LoRA(Low-Rank Adaptation)」の使い方を、WebUI(特にAUTOMATIC1111)を使った方法を基準に
こちらの記事で解説しています。

LoRAファイルのダウンロード
- Hugging Face や Civitai などから
.safetensors
ファイルを入手します。 - 商用利用したい場合は、ライセンスを必ず確認しましょう。


WebUIのLoRA一覧表示を使うと便利!
- 「プロンプト入力欄」の下にある「Lora」タブから、保存済みのLoRA一覧を選べます。
- 選ぶと自動で
<lora:...>
が入力されるので、初心者にも使いやすいです。
応用Tips
複数のLoRAを併用可能:ただし強度や相性に注意(競合すると崩れることも)
SD1.5用とSDXL用は互換性がない:使うモデルに合ったLoRAを選ぶこと
人気LoRA紹介
Hugging Face Hubで配布されているLoRAモデルの中でも、ライセンスが明記されていて「商用利用OK」なものから選びました。
JapaneseDollLikeness_lora
- 繊細で上品な和風人形風の画風に。
- 商用OKと明記あり(※Civitai経由で配布)。
3D Render LoRA (by nitrosocke)
- 3D調の立体的なキャラクター描写に。
- 商用利用OKな作品多数あり(各LoRAにライセンス記載あり)。
LoRAを使いたい場合は、次のどちらかで使えます
方法1:ノートブック内で指定のLoRAを自動DL
ノートブック内に「LoRAダウンロード欄」がある場合、そこにモデル名やURLを入力。
方法2:自分でアップロード(Google Driveと連携)
models/Lora/
フォルダにLoRAファイル(.safetensors)をアップロード- WebUIで
<lora:モデル名:強度>
をプロンプトに書いて使う
Colabでよくある制限とエラーの原因
制限の種類 | 内容 | よくあるエラー例 |
---|---|---|
セッション時間制限 | 無料版で最大90分~3時間でセッション切れ | Runtime disconnected cannot connect to backend |
RAM制限 | 約12GB(無料)/ 約25GB(Pro) 画像が多いと強制終了 | OOM (Out Of Memory) killed エラー |
ディスク容量制限 | /content/ 以下は約80~100GB(変動) | モデル・画像DLで容量超過 → No space left on device |
GPU割り当て制限 | 長時間使用 or 高頻度使用で割り当て不可に | No GPU with CUDA available GPU unavailable |
ネットワーク制限 | 外部サイトやGitHub DL制限、rclone経由も遅くなることあり | 403 Forbidden Connection reset |
ファイル保存制限 | files.upload() や Google Drive マウントでバグ | Permission denied FileNotFoundError |
Python環境の揮発性 | セッション切れるとすべてリセットされる | ModuleNotFoundError import error (再実行漏れ) |
☑ 無料プランの制限に注意
Google Colabの無料プランでは、GPUが使えない時間帯があったり、セッションが最大90分で切断されてしまったりします。本格的に使いたい場合は、有料のColab Pro(月額約1,000円〜)にすると安定性がアップします。
☑ 保存を忘れずに
生成した画像は、一時的にメモリ上にあるだけなので、気に入ったものができたら自分のGoogleドライブやPCにすぐ保存しましょう。Colabはセッションが切れると中身が消えてしまいます。
☑ ノートブックの中身をよく読む
Colabノートによっては、有料APIを使っていたり、特殊な手順が必要なこともあります。セルのコメントや説明をよく読み、わからない英語は翻訳しながら進めていくと安心です。
☑ 著作権・ライセンスもチェック
特に生成した画像を商用で使いたい場合は、使っているモデル(ベース・LoRA・拡張機能)のライセンスを事前に確認しましょう。ノートブックの冒頭やHugging Faceのページに明記されていることが多いです。
Colabはとても便利なツールですが、無料だからこそルールや制限があります。でも、ちょっとしたポイントさえ押さえておけば、誰でも安全・快適に使いこなせます。まずは遊び感覚で1枚、AIに絵を描かせてみてください。
商用利用には注意
派生モデルによってライセンスが異なります。
例:
- Anything V5:商用利用可(モデルページで明記)
- Counterfeit:商用NG(個人利用限定)
Hugging FaceやCivitaiなどで確認が必要です。
よくあるエラーや対処法
Colabで使っていると「メモリ不足で落ちた」「セッションが切れた」などのトラブルに出くわすことも。でも慌てなくて大丈夫。よくある解決法をいくつか紹介します。
まず「VRAM不足」は、生成サイズを小さくする(512×512程度)ことで回避できます。また、「セッション切れ」はColabが一定時間操作しないと自動で切断する仕様なので、定期的に画面に触れておくのがコツです。
もし「モジュールが見つからない」といったエラーが出たら、最初のセルから順に実行し直すことで解決することが多いです。



LoRAを使えば、大きなモデルを学習し直さなくても、好きな画風・キャラを簡単に追加できます。
最初は1つだけ試してみて、どんな変化があるか見てみると楽しいですよ。