ローカルCLI(Pythonスクリプト)の為の、PyTorch+CUDAのインストールコマンド

PyTorch + CUDA のインストールコマンド
”PyTorch + CUDA のインストールコマンド”とは、
ローカルCLI(Pythonスクリプト) で画像補完ツール(例:CodeFormerなど)を使う場合に必要な環境構築の一部で、
PyTorch(AIフレームワーク)を自分のPC環境に合った形でインストールするためのコマンドです。
特に NVIDIA製GPUを使って高速に処理するためには CUDA対応版のPyTorch を選んで入れる必要があります。
PyTorch には「たくさんのバリエーション(種類)」があります。
その理由は、PCの環境(OS・GPUの有無・CUDAのバージョンなど)によって最適なものが異なるからです。
PyTorchの「種類」は何で分かれるのか?
大きく分けると、以下のポイントで種類が変わります
分類軸 | 説明 |
---|---|
インストール方法 | pip / conda など |
対応OS | Windows / Linux / macOS |
GPU対応の有無 | GPU(CUDA)対応版 or CPU専用版 |
CUDAのバージョン | 11.7 / 11.8 / 12.1 など、NVIDIAのドライバやツールキットに対応 |
どうしてこんなに細かいのか?
- PyTorchはGPUで爆速に動くのが強み
- でも、GPUの種類やドライバとの相性がある
- なので、「環境にピッタリのPyTorch」が必要になる
たとえば、
Windowsで
NVIDIAのGPUがあって
CUDA 11.8がインストールされている
という人と、
macOSで
GPUはない(CPUのみ)
という人では、インストールするPyTorchが全く異なるのです。
最適なPyTorchの選び方
PyTorch公式サイトにある”ローカルから始める”のガイドがとても便利です。


こんな画面で選べます
- OS(Windows / Linux / macOS)
- Package(pip / conda)
- Language(Python / C++)
- Compute Platform(CUDAバージョン or CPU)
選ぶと、環境に合ったインストールコマンドが自動で表示されます。
画面の見方と操作手順
開くとこんな選択肢が並んでいます:
設定項目 | 説明 |
---|---|
PyTorch Build | 基本は「Stable(安定版)」を選べばOK |
Your OS | Windows / Linux / macOS から選択 |
Package | Pythonユーザーは「pip」または「conda」 (pipが一番シンプル) |
Language | Python を使っていればそのままでOK |
Compute Platform | GPUあり→CUDAのバージョンを選択 GPUなし→「CPU」 を選ぶ |
例:Windows + pip + CUDA 11.8の場合
選択はこのようになります:
- PyTorch Build:
Stable
- Your OS:
Windows
- Package:
pip
- Language:
Python
- Compute Platform:
CUDA 11.8
すると、下にこのようなコマンドが表示されます:
pip install torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu118
このコマンドをコピーして、ターミナル(BashやPowerShell)に貼り付けて実行すれば完了です。
自分に合ったCUDAが分からない場合
調べる方法(Windowsの場合)
- NVIDIA製のGPUがあるか確認:
- スタートメニュー → 「デバイスマネージャ」 →「ディスプレイアダプタ」
- CUDAのバージョン確認:
Win + R
→cmd
→ 以下のコマンドを入力:
nvcc --version
もしくは、
nvidia-smi
→ ここに CUDA Version
の記載があります。
🚫 現時点での制限
多くのAI画像生成ツール(Stable Diffusion、ComfyUI、InvokeAI、CodeFormerなど)は… CUDA 11.8 や CUDA 12.1 に最適化されています。
画像生成には「CUDA 11.8 or 12.1」が安定!
CUDAバージョン | 安定性 | 対応ツール | コメント |
---|---|---|---|
11.8 | ◎ 高い | 多くのツール対応 | 最も推奨される |
12.1 | ○ 良好 | 一部ツール対応 | 対応広がりつつある |
12.8 | △ 限定的 | 対応少ない | まだ不安定、要注意 |
CUDA 11.8 、 CUDA 12.1以外の場合の対応策については、こちらをClick!
方法①:CUDA Toolkitを ダウングレード(推奨)
- 【おすすめ】CUDA 11.8 を別途インストールして、それに対応したPyTorchを使う方法。
- 環境が安定しやすく、多くのツールが対応済み。
方法②:CUDA 12.1 に対応するPyTorchをインストール
※「12.8」は現状(公式サイトには)表示されていないため、一部機能やツールとの互換性に注意が必要です。
PyTorch公式からインストールコマンドを選ぶ場合の設定(おすすめ)
項目 | 選択例 |
---|---|
PyTorch Build | Stable |
OS | 環境に合わせて(例:Windows) |
Package | pip |
Language | Python |
Compute Platform | CUDA 11.8 (または CPU でもOK) |
生成されたコマンドの例
pip install torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu118
注意:CUDAのバージョン ≠ GPUのドライバ
なので「CUDA 11.8を入れても12.8のドライバはそのままでOK」です。
方法③:WSL(Linux仮想環境)を使う ※Windowsユーザーの場合
Windows上でLinuxを“仮想環境”として動かせる機能”WSL(Windows Subsystem for Linux)は、「Windowsの中でLinuxが動く箱」を実際にLinuxをインストールせずに使うイメージです。


WSLとは?
WSLは「WindowsでLinux専用ツールを動かすための橋渡し」です。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名 | Windows Subsystem for Linux |
対応OS | Windows 10(Ver.2004以降)、Windows 11 |
何ができる? | UbuntuなどのLinux環境をWindows内で使える |
どう便利? | Linux用のコマンドやツールがそのまま使える(しかも高速) |
WSLでできること(画像生成やAI用途向け)
- PythonやPyTorchをLinux環境で扱える
- UbuntuなどのLinuxディストリビューションをWindows上で起動できる
- 通常のLinuxコマンド(
pip
,apt
,git
,python
など)が使える - GPU(NVIDIA製)を持っていれば、WSL + CUDA対応で高速処理も可能(WSL2 + GPU対応ドライバ必須)
- Gitなどの開発ツールをLinux用に使える
- CUDA対応のモデルも動かせる(WSL2 + GPU対応ドライバが必要)
- コンテナ(Docker)で環境管理しやすい ←画像生成系では便利!
WSLのざっくり構成イメージ
┌─────────────────────┐
│ Windows 11 │
│ ┌─────────────┐ │
│ │ WSL2 (Ubuntu) │ ← Linux環境(ここでAIモデル実行)
│ └─────────────┘ │
│ ↕ ファイル共有可 │
└─────────────────────┘
WSLを使うメリット
- LinuxのAIツールがそのまま使える
- Windowsに環境を汚さず構築できる
- 複数のLinux環境を切り替え可能
- GPU対応もOK(NVIDIAの専用ドライバで)
WSLの注意点
- 最初に少しセットアップが必要(でも1回やればOK)
- WSL2(最新版)+GPUドライバが必要(GPUを使うなら)
- Linuxコマンドに少し慣れると快適
WSL導入の流れ
- PowerShellを管理者権限で開く
wsl --install
- 再起動 → Ubuntuなどを選択
- Linuxの初期設定(ユーザー名など)
- 必要なツールやAIライブラリをインストール(PyTorch、CUDAなど
ローカルCLIで使うための基本ステップ
- Python 環境 をインストール(3.9〜3.10など)
- CUDA対応のPyTorch をインストール(GPU使いたい場合)
git clone
でツールを取得(Gitでコードをダウンロード)pip install -r requirements.txt
で依存ライブラリを一括インストール- コマンドラインで実行(例:
python inference_codeformer.py ...
)
PyTorch + CUDA のインストールコマンド(Windows or Linux)
PyTorch公式サイトで推奨されている形で、以下のようにインストールします
例:CUDA 11.8 + pip の場合(最もよく使われる構成)
pip install torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu118
※上記は pip
で CUDA 11.8 対応版を入れるコマンドです。
PyTorch、Torchvision(画像用)、Torchaudio(音声用)を一緒にインストールします。ストールします。
CUDAバージョン別インストールコマンド(参考)
CUDAバージョン | インストールコマンド例 |
---|---|
CUDA 11.7 | --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu117 |
CUDA 11.8 | --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu118 |
CPU版(GPUなし) | --index-url https://download.pytorch.org/whl/cpu |
確認方法
インストール後、Pythonで以下を実行すると正常に入ったか確認できます
import torch
print(torch.__version__)
print(torch.cuda.is_available()) # TrueならGPUが使えています!
注意点
- PyTorchのバージョンとCUDAのバージョンは対応している必要があります
- CUDA Toolkit(NVIDIA公式)が別途インストールされている必要があります
- NVIDIAドライバも最新にしておきましょう
PyTorch+CUDAのインストールをせずにDockerを使用する方法はコチラ

